コロンビア大学における『ガーシュウィンのポギーとベス』の講演会


 『現代演劇19号』にて特集したスーザン=ロリ・パークスが脚本を翻案した『ガーシュウィンのポーギーとベス』がブロードウェイのリチャード・ロジャースにて上演され、2012年度のトニー賞のミュージカル部門で最優秀リバイバル賞を受賞しました。主演のベスを演じたユードラ・マクドナルドも主演女優賞に輝き、彼女の5度目のトニー賞受賞となりました。
 この動画は2012年3月9日にNYのコロンビア大学において『ガーシュウィンのポーギーとベス』のミュージカル制作における舞台裏を監督のダイアン・ポーラス(舞台中央)とスーザン=ロリ・パークスが解説したものです。ポーラスは2009年にミュージカル『ヘア』のリバイバルの監督を務め、作品をトニー賞最優秀リバイバル賞に導きました。ハーバード卒、現在アメリカン・レパートリー・シアターの芸術監督で母親が日本人。彼女の父親は第二次世界大戦中に占領軍として日本に来たGIで、音楽部隊を率いていたそうです。彼は日本でポーラスの母親と知り合い結婚し、アメリカに帰国後CBSのプロデューサーになりました。ポーラスはオペラファンの母親のもとで、ピアノにバレーに音楽三昧の幼少時を過ごし、父親の影響でミュージカルにも出演し、家はリンカーンセンターのすぐ近くと言うお嬢様育ちです。
 『ポーギーとベス』はアメリカ南部の貧しい黒人の生活を描いているので、ハーバード卒のポーラスが作品の神髄を理解できるのかと批判をする批評家もいましたが、パークスの脚本や、黒人女性作曲家ディードル・マリー、また多くの黒人の俳優陣とスタッフの力が終結し、躍動感あふれる現代的な『ポーギーとベス』に仕上がっていました。ミュージカルは大変な人気で閉幕を2度も延長されています。パークスは黒人がミュージカルに見に来てくれたり、また黒人がミュージカルを作る仕事に関わることができて、本当にうれしいと語っていました。確かにブロードウェイの世界は観客も俳優も制作側にも白人が圧倒的に多いのが現実です。
 今回のコロンビア大学の講演会は実は『ガーシュウィンのポーギーとベス』を批判したスティーブン・ソンドハイムを始め、ガーシュウィンのオペラ作品をミュージカルごときに改編して、作品の価値を貶めたと抗議してきた人々に対して、ミュージカルの正当性を弁明するために設けられたシンポジウムでした。ポーラスとパークスの声と人柄が伝わってくる、とてもよい企画であったと思います。

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